ブックレビュー「非営利団体の資金調達ハンドブック」

ゴールデンウィークに、以前から読みたかった「非営利団体の資金調達ハンドブック」を読了しましたので、ブックレビューを書いてみたいと思います。

「ファンドレイジングの王道教則本」として活用できる内容

本書の概要は以下の通りです。
著者:徳永洋子
体裁:A5版238ページ
発行:時事通信社
ISBN:978-4-7887-1510-3
定価:2,400円+税
目次(概略):
第1章:団体としての準備-理念編-
第2章:団体としての準備-実務編-
第3章:個人としての準備
第4章:寄付
第5章:会員
第6章:イベント開催
第7章:助成金
第8章:事業収入
出版社ホームページ内紹介:
http://book.jiji.com/books/publish/p/v/926
Amazon.co.jp内紹介:
https://www.amazon.co.jp/dp/4788715104/

本書は、ファンドレイジングに必要な実践的知識が体系的に網羅されており、私自身も、研修や実務で培った知識や認識のブラッシュアップにはものすごくなったという印象を持ちました。認定・准認定ファンドレイザーの方には、よい復習になると思います。
各ページに盛り込まれたアドバイスからは、「ファンドレイジングの現場で役立って欲しい」という徳永さんの気持ちを感じましたし、文章も噛んで含めるような、優しく品のある筆致で、素直に読みこなすことができました。
また、現場でファンドレイジングに携わる人にとっては、「ここ、改善しなきゃまずいよね」とグサッと刺さるところが、本書には少なからずあるはずです。
そういう気付きを得る意味でも、本書は「ファンドレイジングの王道教則本」として、多くのNPOの現場で、実務に活用してほしいと思いました。

コンサルタントは本書を頭に叩き込み、腕を磨く

一方、NPOやソーシャルビジネス支援に取り組むコンサルタントにとっては、本書の内容は、ファンドレイジングを支援する技能を身につけるための、基本的フレームワークにあたると思います。
中小企業診断士の勉強の初期には、「アンゾフの成長ベクトル」「BCGのPPM」「ポーターの5force」などのフレームワークを学びますが、これらと同じ感覚で、基礎知識として頭に叩き込んでいくのがよいのではと思います。
そのうえで、本書の内容をベースに、実務で思い悩み、、個別分野(遺贈寄付、データベース、クラウドファンディング…)の知識を深め、背景知識(コンテンツマーケティング、心理学、行動経済学など)にも目を向けることができれば、おのずとファンドレイジング支援の腕を磨くことができるように思います。

ファンドレイジングの理論とコンサルティングのフレームワークは意外に近い

もう一つの気づきとして、ファンドレイジングの理論と、経営コンサルティングのフレームワークは、意外に近いところにあるという印象を持ちました。実際、本書を読み進むと、「MITASの法則」(12ページ)からは消費者行動論でいう「AIDMAの法則」を思い出しましたし、「寄付者ピラミッド」(97ページ)は、マーケティングにおける「顧客ピラミッド」とパラレルに感じました。
このように、ファンドレイジングは特殊な世界ではなく、コンサルタントにとって意外に身近なものであることを、本書から感じていただけると何よりです。

類書に期待し、「草の根金融ハンドブック」に挑みたい

日本では本書のようなファンドレイシングに関する体系的な実務書が数少なく、本書はまさに待ち望まれた一冊と言えます。今後は多くのロングセラーと同じように、本書が最新情報や知見を盛り込んで、長きにわたって改訂され続けることを望みます。また、
・ファンドレイジングの破壊的イノベーションに挑む理論書
・新人スタッフ向けに内容を絞り込んだ実務書
・ファンドレイジングの最先端をまとめた研究書
などが出てくるようになれば、ファンドレイジングはより豊かな世界になると思います。
私自身も機会があれば、「草の根金融ハンドブック」のようななものを書いてみたい気持ちになりました。

出版記念講演会が5月11日に開催されます!

直近の話で恐縮ですが、日本財団CANPAN・NPOフォーラム様が、著書の徳永洋子さんを招き、本書の出版記念セミナーを開催します。
ご興味のある方は、下記広報文を参照のうえ、ぜひおいでください。

(以下広報文=転送・シェア歓迎&重複失礼します)
【開催案内】
日本財団CANPAN・NPOフォーラム
「非営利団体の資金調達ハンドブック」出版記念セミナー
~著者・徳永洋子さんに聞く!ファンドレイジングの物語~

今回のCANPANセミナーは、この3月に出版され、AmazonのNPO・NGOカテゴリーでベストセラー第1位にもなった『
非営利組織の資金調達ハンドブック』の著者の徳永洋子さんをお招きして開催します。
NPOセクターでも、ファンドレイジングや資金調達という言葉が当たり前に使われるようになって数年、全国各地でファンドレイジ
ングに関するセミナーも数多く開催されるようになりました。
でも、ファンドレイジングについて体系的に学べて、かつ実践的なノウハウがまとめられている参考書は今までありませんでした。そ
んな中で出版された本書は、NPOセクターの関係者にとっては待望の一冊といっても過言ではありません。

実際に本書を手に取って読めば、ハンドブックという名前の通り、実用書としての素晴らしさを実感することができます。
■資金調達において、どのようなことを考えて、どのようなことをやればいいのか、体系的、かつ網羅的に学べる。
■団体内で、具体的な施策として行う際のプランニングの基本資料からすぐに使える例文集として、活用できる。
■読み手の経験や知識に応じて、様々な気づきが盛り込まれているので、ファンドレイジングについてトライ&エラーを繰り返しつつ
、書籍を何度も読み返せば、そのたびに新たな気づきがある。
まさしく、これは、ファンドレイザー個人としても、NPOの組織としても、必携の一冊です。

ちなみに、この書籍を出版するきっかけは、昨年5月にNPO法人企画のたまご屋さんを講師にお招きして、CANPANで開催した
「NPOが本を出すということ~ファンを増やそう!!どんなことが、本になるの?~」(http://blog.canpan.info/cpforum/archive/582)に、著者の徳永洋子さん(ファンドレイジングラボ)が参加されことからでした。

というわけで、本書の出版を記念して、徳永さんをお招きしてのセミナー開催となりました。徳永さんには、書籍だけでは、まだまだ
語りきれない非営利セクターのファンドレイジングへの想いを熱く語っていただきます。徳永さんが出版を通じて、あらためて感じた
ファンドレイジングの可能性など、ここだけのお話をお聞きする、貴重な機会になると思います。

みなさんも、ハンドブックを片手に、ぜひご参加ください。

日 時:2017年5月11日(木)19:00~21:00(開場18:45)
場 所:日本財団ビル8階セミナールーム
対 象:非営利団体の資金調達に興味のある方、
NPO支援を考えている企業CSR関係者、
徳永洋子さんのお知り合いなど、
どなたでも、ご参加可能です。
定 員:40名
参加費:1,000円(事前決済・キャンセル不可)
※高校生以下は無料ご招待しますので、ご連絡ください。
主 催:日本財団CANPANプロジェクト

★★★お申込みはこちらから★★★
http://canpan20170511.peatix.com
※お申し込み後、Peatixからメールが届きますので、必ず確認してください。
※事前決済のキャンセルは受け付けておりませんのであらかじめご了承ください。
【書籍販売コーナーあります!】
当日は、会場内にて「非営利団体の資金調達ハンドブック」を販売いたします。
まだ購入されていない方は、この機会にぜひ!
すでに購入されている方は、団体用、あるいは知り合いのNPO関係者へのプレゼント用にぜひご購入ください。

★★★ご参加の際は、なるべく書籍をご持参ください。★★★
<内容>
オープニング
・趣旨説明
・参加者同士で自己紹介タイム

基調講演(45分)
「徳永洋子さんに聞く、ファンドレイジングとの出会いとか、あらためて体系的にまとめて感じたファンドレイジングの可能性やソーシャルセクターの未来などなど。」

ワークショップ(30分)
テーマ「あらためて資金調達やファンドレイジングを考える」
・個人ワークとグループシェア

クロストーク(30分)
テーマ「資金調達=ファンドレイジングという方法」
話し手:徳永さん 聞き手:CANPAN山田
参加者のみなさんからの質問を中心に徳永さんにお聞きします。さらに、出版社の編集担当の方にも途中から加わっていただき、トークを進めていきます。

クロージング
<講師プロフィール>
徳永 洋子さん
ファンドレイジング・ラボ 代表
日本ファンドレイジング協会 理事
佐賀未来創造基金 理事
日本ファンドレイジング協会認定 認定ファンドレイザー・認定講師

東京都出身。大学卒業後、三菱商事に勤務。1998年から日本フィランソロピー協会で視覚障害者向け録音図書のネット配信事業「
声の花束」を担当。2000年よりシーズ・市民活動を支える制度をつくる会で、おもにNPOのファンドレイジング力向上事業に従
事。そのプロジェクトの一環として、日本ファンドレイジング協会設立を担当し、2009年2月、同協会設立と同時に同協会事務局
次長となり、2012年6月より2014年末まで同協会事務局長をつとめた。

これまでに、全国200カ所以上で1万人以上を対象にファンドレイジング関連セミナーに講師として登壇している。

<書籍紹介>
『非営利団体の資金調達ハンドブック』
(徳永洋子・著 時事通信社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4788715104/

全国10万超のNPOの最大の悩み「資金をどう獲得するか?」。その答えを初めて、具体的に書きました。寄付の依頼には手法があ
ります。イベントに集客する4つのポイント。助成金申請から採択までの6つの留意点。手紙やメール、申請書のサンプルを示して手取り足取りお伝えします! !
【著者のアドバイス(本書から)】
⇒NPOのウェブサイトの寄付メニューで「寄付会員になって継続的に支援(月々1000円から)」と「今回のみ自由な金額で寄付
する」の2つのタブを設け、「継続支援」をディフォルトとする(導線を「太目」にする)。
⇒アフリカの貧困の統計を示して寄付を訴えるより、特定の名前の子どもの困窮の話で訴える。感情に訴える、「誰のために」が大切
。延々と統計データで説明すると感情のスイッチが切れる。
⇒会員の期限が来る2月前に継続依頼状。その1週間後に確認メール。期限当日にもメール。退会届を出した人にはお礼を伝え、アン
ケートで退会の理由を聞く。その設問だけではストレートすぎるのでほかの設問も用意する。
⇒助成金申請書はタイトルを見ただけで「これに取り組むことで、喫緊のこの課題が解決する(あるいは、こうした効果が出る)」ということが分かるようにしておく。
⇒助成金が不採択になったら、その理由を把握して次につなげる。採択団体は公表され、審査員のコメントも付記されていることもある。
【こんな疑問にも答えます! 】
○非営利団体の活動に「共感してもらい」そこに支援(資金)をどう出してもらうか。→第1章
○団体の活動内容を1分間で説明する「エレベータートーク」とは→第3章
○「寄付者の心理」3つのステップとは→第4章
○クリックするだけで集まる募金とは→第4章
○「遺贈」を受ける上で踏むべき手順とは→第4章
○寄付を依頼する手紙の書き方のコツは→第4章
○継続的な活動の基盤となる「会員」をきちんと集める方法は→第5章
○イベントをどうやって開く際のチェックリスト→第6章
○助成金のデメリットとは。「助成金貧乏」をどう防ぐ→第7章
○共感に基づく参加を募りつつ、非営利団体らしく、きちんと事業収入で利益を上げるには →第8章

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<情報保障について>
参加申し込み後、手話通訳、要約筆記、点字資料、車イス席など必要な配慮を下記の問い合わせ先メールアドレスまで別途お知らせください。

<参加申し込み>
http://canpan20170511.peatix.com
・お申し込み後、Peatixからメールが届きますので、必ず確認してください。
・参加費用はクレジットカード、コンビニ払い、銀行振込等の前払いとなっています。
・事前参加申込は5月11日(木)17時に締め切ります。
・定員になった場合には、その時点で申込締め切りとなります。
・なお、コンビニ払い、ATM払いの場合は、5月10日(水)24時までの申込手続きが必要となりますので、お早めにお申し込みください。
・当日現金での受付は対応しておりませんので、あらかじめご了承ください。
・キャンセルは受け付けておりませんので、あらかじめご了承ください。
・領収書はPeatixのサイトから印刷するものとなります。
※クレジットカード決済等で難しい方は以下のメールアドレスよりお問い合わせください。

【チケットのお申し込みに関するお問い合わせ】
Peatixコールセンター
0120-777-581
10:00 ~ 18:00 | 年末年始、GWを除く

【お問合せ先】
日本財団CANPANプロジェクト 藤川・山田
E-mail:canpanforum@canpan.jp
※お問合せはメールでお願いします。